「デファイアンス」



ダニエル・クレイグさんが主演しているというだけの理由で観ました。ミーハーなのは自覚済みです。


第二次世界大戦中、ナチス・ドイツに迫害されたユダヤ人達が、迫害の手を逃れ森に潜み、力を合わせて抵抗するという実話に基づいたストーリーなんですが、戦争の悲惨な真実を切に訴えるというテーマより、物語の主軸を成す兄弟の固い絆がとても印象的でした。もうこの兄ちゃん(ダニエル・クレイグ)がね。人里離れた森の中で自分たちの食料もままならないのに、命からがら逃げて来た同胞を助けてしまうんですね。ぜったい子犬とか見捨てられない人だな、この人は(笑)そしてそれに反発する弟が居るんですが、この弟とのやりとりは全編を通してとても熱いものを感じました。無言で殴り合ったり、無言でがしっと抱き合ったり(思いあまってほっぺにちゅうとかしちゃうんだよね)、会話はあまりしないんですが両方の役者さんが演じる、内面の揺れ動きがしっかりとスクリーンに描き出されていてすごく良かったです。
この兄は殺された父の役割も背負っているように思えました。内気な三男(甥?)に対しても、好きな女の子になかなか近づけないでいる所をくっつけようとしたりするんですね。一方で、ある時、ドイツ兵が森に迷い込んで、ユダヤ人たちに取り囲まれ糾弾される、というシークエンスがあって、その時、兄は疲れた顔で一人その群れを離れるんですが、四男(甥?)もまた糾弾の声に絶えきれずに逃げていたんですね。その二人が一緒に疲れた顔をしているシーン、この幼い四男はこの兄の繊細な部分を担っているように思えました。
ラストにかけての流れはちょっと出来過ぎな感じもしましたが、どこかでそうあってほしいと思ったとおりだったので良かったです。