「スパイのためのハンドブック」

スパイのためのハンドブック (ハヤカワ文庫 NF 79)

スパイのためのハンドブック (ハヤカワ文庫 NF 79)



映画や小説の中のスパイはあんなにもカッコいいけど、実際はどうなのかなあ、といつも思ってました。実際に諜報部員だった経歴を持つスパイによる、スパイになりたい初心者へのインストラクションあり、著者の体験談もあってとても楽しかったです。


スパイ能力は120点でした!頑張ればそこそこのスパイにはなれるそうです。ネットのナントカ検定に近い感じですね。完璧な嘘をつく能力も、華々しい社交性もないけど、見つからないように隠れたりする仮想訓練だけはたくさんやってるんだけど、それだけじゃだめかしら(笑)まあ遊びだけど、適性なしと判断されなくてちょっと嬉しかったです。
スパイになる方法ですが、スパイになるにはスパイになる前から適性が問われているんですねえ。ああ、こういう機転の効く会話って出来ないなあ。こういう知識は面接なんかで役立ちそうな気もしますが、情報はもっと提供した方がいいでしょうね。
スパイと言えば尾行と偽装ですが、これらの具体的なレッスンが提示されていて興味深かったですね。遊びでもやったら犯罪だなあ、と思いつつちょっと楽しそうなんて思ってしまいました。そういえば子どもの頃尾行ごっこして遊んだ事あったなあ。こういうゲームがあったら面白いと思うんですよね。それと、尾行をまくためのトラップに関するテクニックとか、この辺はフィクションとの差を比べたりして楽しかったです。映画とあまり差がないように感じました。
スパイのロマンスは、フィクションでは大事な要素の一つでもあるんですが、ノンフィクションでもこういう秘密めいた恋愛は本当にワクワクしてしまいます。恋愛って「二人だけの秘密」で成り立ってる部分ってあると思うんですよね。いやー、「実は僕、スパイなんだ」っていうプロポーズされてみたい。とりあえず、「一緒に病院に行こう」って提案しますけども(笑)
スパイって金持ってそう、というのはボンドさんの影響だと思います。実際はやっぱり普通のサラリーマンみたいに、予算取りに苦労するんですね。この辺は普通に参考になりました。まあやっぱり地味に実績上げて行かないと駄目なんですねえ。そういえば某Sさんって、予算どころか現地調達だよ。どんだけケチられてるのか。
スパイと言えば何故か拷問。この辺の知識は役に立たない、というか立つような状況にはなりたくない(笑)このエピソードはやっぱりフィクションとは違いがありますね。そうだよなあ、スパイが喜んで情報をぺらぺらしゃべっちゃったら、映画的に面白くないしなあ。いや、敢えてそういうヘタレなスパイでも面白いかもしれないけど。でも、こういう危機的な状況化での敵との取引は、かなり映画っぽくて楽しかったです。