「ウォッチメン」



原作のコミックを読んでいないので、本流の文脈が読めてない部分がありますが、それぞれのヒーローを勝手に定義付けて観てみました。
コメディアン(筋肉質なおっさん)は、アメリカの笑い(ジョーク)を、Dr.マンハッタン(青い人)はアメリカの力そのものを、ナイトオウル(メガネをかけた横分け)はアメリカの悲しみや鬱を、シルクスペクター(娘の方)はアメリカのセックスを、オジマンディアス(金持ち)はアメリカの合理性を、そしてロールシャッハ(覆面)は、アメリカの名前のつけようのない病気のような性根を表しているように感じました。彼らはかつて必要とされていたのですが、いつしか脅威として認識されるんですね。その理由が、「Who watchs 'Watchmen'」というコピーに現れているように思いました。この言葉には時々劇中に挿入される当時の米ソ間の関係と同じように、正体が分からないもの(覆面のヒーロー)への不信感があるように思いました。それと世界終末時計は、当時の核戦争の危機感を象徴的に表したものですが、同時にウォッチメンという脅威の象徴でもあるように思いました。
ヒーロー達の中ではロールシャッハというキャラクターがとても良かったです。彼は劇中探偵の役割も果たしているのですが、古い映画に出て来るような探偵スタイルも良かったし、キャラクターがとても荒削りながりがりした雰囲気なのが素敵でした。こういう種類のヒーローはちょっと面白いですね。アンチヒーローのハードな感じもあり、微妙に正統派ヒーローの正義感もあったりするんですね。ラストで、現代のヒーローに繋がりそうなシークエンスがあるのですが、
ヒーローのすべての要素を持っているキャラクターとしても描かれているように思いました。そして彼のラストシーンは本当に彼らしくて、すごく良かったです。
映画館で映画を見る最大の楽しみは、大きなスクリーンと大きな音量だと思いますが、今回は特に音が良かったです。アクションシーンで殴ったり蹴ったりする時の音や、物が破壊される時の音が、かなり誇張されているように感じました。そのせいでより荒々しく激しい印象がありましたね。それと映像エフェクトの使い方も良くて、アクション中、時間の流れを早めたり緩めたりして、アクセントをつけているシーンがとても面白かったです。さらに、刑務所で廊下を進みながら敵を倒して行くシーンでは、廊下の横からのショットと縦のショットを組み合わせてて、ここが一番わくわくしました。こういうパク・チャヌク監督の「オールド・ボーイ」みたいな、ストーリー以前に全力でアクションを展開するシーンは本当に楽しいですね。



アップしてからimdb見たら、脚本がディビット・ヘイターさん(MGS英語版スネークさん)だった!エンドクレジットで気づかなかった。。。ちなみに今日はロバート・ダウニーJrさんの誕生日だそうです。おめでとう、社長。