「ニュームーン/トワイライト」



前作のトワイライトも今年公開なのに、年内にこの第二作目が公開されるってくらい、すごい人気みたいです。


ロミオとジュリエットは、今さら言うまでもなく恋愛ものの王道です。愛し合いながらも家柄という障害があるために結ばれることのない男女が、互いを思いながら死んで行く。その障害を乗り越える方法はそれしかなかったから。
互いを愛しながらも、種族という障害故に結ばれる事が出来ない。この映画の面白いのは、まんまロミオとジュリエットをなぞるのではなくて、それを互いの欲望を美しく見せるための仕掛けとして使っているところじゃないかな。恋愛って言えばきれいだけど、身体のレベルで言うと相手に欲望を感じているっていうことなんですよね。まあ私はそういうことをしゃあしゃあと考えられるくらいの年ですが、この主人公のベラくらいの年(18歳)だと、自分が相手に欲望しているという風には多分思わない。「どうしようもなく好き」という、この言葉にならない部分こそ、身体のレベルでの好意、欲望だと思うんですけど、そうするとミもフタもない、ただの下世話な話になってしまう。わざわざ映画でそんな現実的な話は誰も観たくないですよね。だからその率直な欲望を、美しいベールに包むための仕掛けが必要なんでしょう。
ロミオとジュリエットが死をもって恋愛の美しさを表現していたなら、この映画は相手への欲望を死への渇望と置き換えて表現していたんじゃないでしょうか。主人公のベラはエドワードに会いたいがために、自ら危険に飛び込んで行きます。危険を感じる時の緊張と、愛する人を前にした時のときめきを、身体に錯覚させようとしている。それを端的に表しているのが、海中で二人が交差するシーンなのではないかなと思います。自分が死んでしまうかもしれないのに、決して触れない相手の方に手を伸ばしてしまう。この「どうしようもなく」が幻想的な映像で包まれていて、非常に良いシーンでした。


相変わらず吸血鬼一族の顔が白いことに、笑いを禁じ得ませんでした。おい、白過ぎだろう。アリスというベラと同い年(?)くらいの吸血鬼の女の子が今回とてもキュートでしたね。顔白くて病弱そうなのに、やたら元気良くて。子供が熱出して、テンション高くなっちゃったみたいな感じですかね。意味がわからないけど。
それにしてもこのベラという主人公の女の子は、本当に地味なんですよね。びっくりするわ。ヒロインらしい甲高い声で叫ぶとか、嬉しそうな満面の笑みを見せるとか一切ない。自分に降り掛かってくる幸せに対していちいち怯えて、そして不幸のどん底で彼女の本領が発揮されるんですよね。声を押し殺して泣くシーンとか、ちょっとリアルすぎて引いたわ…。こういうナイーブでウエットな女の子が主人公ってちょっと珍しいですね。こういう子だから共感されやすいのだろうか。