「チェ 28歳の革命」「チェ 39歳別れの手紙」



チェ 28歳の革命 [DVD]

チェ 28歳の革命 [DVD]

チェ 39歳 別れの手紙 [DVD]

チェ 39歳 別れの手紙 [DVD]



某ゲームの影響で観てみました。「影響を受ける」方向性が何か違うような気もしますが、気が向いたのが観る時ってことで。


チェ・ゲバラのことはよく知りません。Tシャツにプリントされてる髭の人くらいの認識です。圧政に苦しむ人々を助けるために戦う「革命家」。前半のキューバではその革命家への成長が描かれ、後半のボリビアではその末路が描かれています。
まず驚いたのは、彼がキューバ人でもボリビア人でもない、革命を起こした国の人間ではなく外国人だったということ。まったくの無関係というわけではないけど、祖国でもない国の為にどうしてそこまでするのか。それをこの映画は、淡々とチェの姿を追うことで語りかけます。分かりやすいナレーションも、台詞もないけれど、彼が何を信頼してそこに命をかけたのかが見えてくるんですね。この人は単に人間を信じていたかっただけなのかなと思います。それも本当に身近な人々のことを。この映画、前編のキューバでは、カメラはあまりチェに肉薄しません。どこか遠回しに彼と彼の身近な人々の姿を映し出します。そこには彼の内面に迫るというよりも、彼がどうやって人間関係を築いていったか、ひいてはカリスマ性を持つに至ったのかが描かれているように思います。
後半のボリビアでは、前半とはうって変わって、崇高な目的を持つ「革命」に影が差して来ます。彼が信じたい身近な人々は、簡単に挫折し裏切り、慎重さを失って革命に致命的な危険を招きます。しかし始めは意気揚々と革命を目指していた人々が、次第に長引く戦闘に疲弊し簡単に弱さを曝け出す一方、同じ状況にあるはずのチェだけが最後まで目的を見失わずに戦い続けます。一つに、革命という大きな出来事が人に与えるものの大きさをここでは見る事ができると思います。たぶん、チェは成長しすぎてしまったのでしょう。身近な人を信じて戦い成長した彼が、その目的である身近な人からは遠く離れた存在になってしまった。そういう英雄的悲劇が淡々と描かれているように感じました。また彼は医者でもあるんですね。(これも知らなかった)もし自分に誰かを助けることができるとしたら、誰でもそれをすると思うんですよ。そして彼は革命という手法で人を助ける手段を手に入れた。だからそれをしただけなのかもしれません。ごく普通の人が困っている人に手を差し伸べるのと同じような感覚で。軍に追われて辿り着いた村で、子どもたちと束の間写真を撮ったりしてくつろいでいるシーンがあります。ここに彼の素朴な優しさが描かれているように思いました。