「エクリプス/トワイライト・サーガ」

あーまた観てから一週間ほど経ってしまった…。

吸血鬼と人間の恋を描いたトワイライトシリーズの第3部。吸血鬼のエドワードと、人間の少女ベラのカップルに狼男のジェイコブが加わって三角関係という、恋愛模様と共に、吸血鬼一族の戦いを描いた作品。

この映画で一番興味深いところは、主人公のベラと言う少女がまったく典型的なアメリカンガールとは正反対の、ちょう暗い性格であるところなのですが、前作ニュームーンのラストでエドワードからプロポーズされた際の怯えが的確にそれを表していたように思います。ベラの友だちのジェシカ(卒業スピーチをした)って子の方が主人公っぽいんですよね。前作まで観て、まったく新しいタイプのヒロインが登場したという新鮮さとともに、いったいベラという子はどこに着地するのか、それが楽しみでした。
女性が持つ幻想の一つに、「さらって行って欲しい」というものがあると思うんですよ。個人の意志とか、気持ちなど無視してこの所属する現実から別の世界へ連れて行って欲しい、というもの。こういうものが果たして海外の文化に存在するかは分からないけど、ベラはある意味で「さらわれてしまった少女」なんですね。別の世界へ連れて行ってくれる人に、付いて来てしまったのですから。でもやっぱり、そういう願望というのはただの幻想で、別の世界に行くという選択の重大さや厳しさは現実なんですよね。この物語はただ幻想を描くことだけに終わらず、きちんと彼女自身に現実の選択をさせているんですね。その選択させる状況の描き方は、それはそれはとても少女の幻想に満ちていて、さすがに30も過ぎると微笑むしかなかったのですが(笑)、選択一つ一つの重みはストーリーの中できちんと消化されていて、安易な幻想に逃げていなくて良かったです。

今回、キャラクターで一番良かったのはエドワードとジェイコブの二人ですかね。まさしく犬猿の中のこの二人が、ベラを挟んで協力し合う中にも、嫉妬を滲ませたりと複雑な心境を描いていて興味深かったですね。しかしベラって子は普通の恋愛は出来ないのね…。