スコット・ピルグリム vs 邪悪な元カレ軍団

マチュアバンドでベースを担当するスコット・ピルグリム(22才無職)は、女子高生のナイブスと付き合っているにも関わらず、ピンクの髪のミステリアスなラモーナに一目惚れしてしまう。ラモーナを自分が出演するライブに誘ったスコットは彼女の前で演奏を始めるが、そのときライブ会場の天井を突き破って男が乱入して来た。男はラモーナの元カレだと名乗りスコットに戦いを挑んで来たのだった!

ゲームという文化は私の中では一つの遊戯体験としてしっかりと根付いています。っつうことを嫌というほど確認しました。ああこの映画好きすぎる。
この映画のリアリティって明らかにおかしいんですよね。主人公スコットが壁まで吹っ飛ばされてるのに傷ついてないとか、敵を倒すとコインになって降り注ぐとか、殴ると効果文字が出るとか。現実としてはいろいろとおかしいのに、感覚としてはすげえしっくりくるんですよ。ちなみにこの映画、実写ですよ。CGとかじゃなく。この変な物理感覚なのに違和感がない。そうこれ、リアリティはまったく無視されてるのに違和感がないという奇妙なことになっちゃってるんですよね。例えば、私は夏場登山に行くんですが、まあ体力がないので(普段インドア趣味なので)すぐにヘタっちゃうんですね。そういう時同行してる友だちに「ごめん、ゲージなくなったわー」みたいに言っちゃう。今日はなんかすごく調子いいぞーって言う時に、マリオの無敵曲流れたりしませんか。そういう感覚が高精度で転写されている感じ。そしてこういう感覚って、ビット数の少ないゲームほど強いような気がします。なんていうんだろう、昔のゲームって抽象とリアルの距離が大きいんですよね。例えばマリオってちょっと敵にさわっただけで死ぬとかどれだけ弱いのかって言う。でもオンタイムでプレイしていた時はそういうルールが絶対だったわけで、そういう現実と乖離したルールを植え付けられて育った大人はやっぱり今でも急ぐ時は心の中でBボタンを押しているはずです。ていうか、私は押す。そういう昔感じていた感覚が実写という(ある程度)リアルな世界に逆流して来た感じ。走って飛んでブロック壊してまた走って、そんなノンストップわくわくがぎゅっと詰め込まれている映画でした。
それでいて意外とストーリーがちゃんとしているというか、好きになった女の子の元カレが襲いかかってくるっていうのは、どうしたって過去は付きまとってくるしそういうところをどうにかこうにかやりきらなきゃという複雑さを抱え込んでいる、ってことだと思うんですよね。まあ敵が立ちふさがるのは格ゲーのお決まりのパターンですが(笑)ちなみに元カレで一番破壊力があったのは一番手のインドの彼でした。最近映画でインドネタは反則だなと感じてます。ぜったい爆笑するわ。首のこきこきした動きとか、歌い出すところとか精神的に壊れるかと思いました。SMAAAKK!!!
分かったネタは、ゼルダ(冒頭のゲーム音、敵を倒した後に散らばるハート、剣で攻撃)、スマブラ(敵に吹っ飛ばされて壁に激突)、スト2昇竜拳ベジタリアンの敵の眉毛が黒=ケン)、ギターフリークス(ベース対決)、FF(戦闘曲)、マリオ(1UP)ですかね。でもこれ間違ってるかも。しかしなんで、ゲーム輸出国の日本でこういう映画作れなかったのか。きいい口惜しい。もう任天堂さんとかコナミさんとかカプコンさんとかセガさんは、国内でゲーム売れてないならこういうのに全面協賛するといいんじゃないかなって思います。