Final Fantasy 8

ファイナルファンタジー?

ファイナルファンタジー?

ゲームアーカイブスにて購入。

魔法を使う魔女の存在と、科学技術が共存する世界。魔女を倒すために設立されたガーデンという学園に在籍するスコールは、ガーデン特殊部隊SeeDになるべく訓練の日々を送っている。そんなある日、ガバルディア帝国がドールへと侵攻し、スコールはSeeD試験を兼ねた実戦へと投入されることとなった。

傭兵派遣会社ならぬ傭兵派遣学園の、制服を着た少年少女に重装備の兵士がぼっこぼこにされるシーンになぜか涙が出ました(笑)というのはまあいいとして。この世界には大人はいないのだろうと思います。主人公スコールを含む仲間のキャラクターには皆親がいません。リノアには父親が居るけれど仲が悪い。学園長のシドはあまり頼りにならない微妙なキャラクターとして描かれていて、物語上の父親像は担っていません。*1ガーデンの子ども達は誰かが指示してくれるのでもなく自分たちの力で世界に立ち向かって行かなければならないのです。だからなのかこの物語では出来事が充分に説明されないままだったりします。それは子どもの視点から見るとこの世界で起きていることなど分からないまま進行しているということなんじゃないかと思います。その世界を象徴しているのが魔女という存在なのではないかと思うんですね。この物語では二種類の魔女が居ます。その知恵を脈々と受け継ぎ、母としてその力を使う魔女、自分だけが存在する世界にしようとする魔女。ファイナルファンタジーに限らずRPGはずっと強大な力を持つ存在が世界を支配するか破壊する物語でした。その構造は偉大なる父の反転として描かれて来たんじゃないかと思います。そして主人公はそれを克服しなければならない。それは父と息子の物語の変奏だった。しかしこの物語の魔女は支配を望まないんですね。そして破壊を望んでも自分自身はそうしない。ただ自分だけが存在する世界を望んでいます。これは母親の愛がただ子どもに注がれるのと根源は同じなんじゃないかと思うんですね。この物語はそういう面で既存の形式を破壊しようと模索しているのではないかと思いました。ただRPGというゲームの性質なのか、物語の構造のせいなのか、その辺が脱却できていないような気がしました。まあゲームはどうしてもそれを解決していかなければならない性質上、克服という構造を取りやすいんでしょうけど。
そしてこれは愛の物語でもあります。(パッケージ絵がそのものずばり)誰かを好きになるということは、その人を通じて世界を知ることに他なりません。主人公のスコールは世界に背を向けて生きているような少年なのですが、その心を世界に向けさせたのは、最初から世界を知る者(キスティス)ではなかった。キスティスはスコールのそういう拒絶した生き方を見て干渉したいと望むのですが、実際に彼を世界の側に向かせたのは世界を知らない者(リノア)の方だったんですね。人は誰かと向かい合うとき、その視点を無意識に模倣するんじゃないかと思います。スコールはリノアと向き合うことで、リノアの視点で世界に驚きや喜びがあることを知っていった。その目を覗き込む時、その瞳の奥には広大な世界が広がっていて、その世界を手探りで探って行く、これはそういう物語だったんじゃないかと思います。

ゲームについて:
50時間くらいプレイしてからやり直しました。普通のRPGと違ってこのゲームはレベルを上げると敵のレベルも上がる、というやっかいなルールになっていて、単純なレベル上げではクリアできないんですね。じゃあどうするかというと、キャラクターのパラメータ(体力、魔力、精神、早さなど)を他の方法で底上げするしかない。そのためにこのゲームではジャンクションというシステムを採用しています。召還獣(ガーディアンフォース:GF)をキャラクターにアタッチ(ジャンクション)することで、そのGFの特性がキャラクターに上乗せされる、という具合。またGFだけでなく、敵から魔法を抜き取る(ドロー)ことによって魔法を蓄積し、それをパラメータにふりわけることもできるんですね。ってこれだけのことを覚えるだけでもすごく大変でしたが。というわけで、さくさくっと進んでしまって気がついたらろくにGFも育ってないわ(GFもキャラクター同様成長する)、魔法も集めてないわで、結局初回は断念しました。いやあこれ、攻略サイトないとクリアできなかったわ。
というわけで、最初から魔法集めとGF育てを入念に行いつつレベル上げを抑える長期戦略と、ボス戦などの短期戦略がすごく大変でした。ボス戦は結局同じくらいのレベルに設定されるので、ちょっと選択間違えると大変なことになっちゃったりするんですよね。ラスボスはあと数撃ってところで大技かまされて、みんなHP1とかになっちゃってかなり慌てましたわ。あとミニゲームのカードはぜんぜんやりませんでした。ルールが覚えられん。

キャラクターについて:
キャラクターで一番いいなと思ったのはラグナでした。照れ屋で仲間想いでけっこういい加減で言葉使いがテキトウでなあなあで押し進めちゃうけどそれなりになんとかやり遂げて緊張すると足をつる。欠点がみごとに愛嬌になってしまうお得なキャラクターだなあと思いました。

*1:ただし陰ながら支える大人は存在しています