トランスフォーマー ダークサイド・ムーン

機械たちが高度な文明を築いた星サイバトロンは、オートボットディセプティコンという二大勢力に分かれて戦争が勃発し壊滅した。その壊滅寸前の星から辛うじて逃げ延びたオートボットたちは新しい知的生命体の住む星、地球にたどり着く。しかしオートボットたちを執拗に追うディセプティコン勢も同じく地球に降り立ち、新たな星での覇権を争う戦いを始めた。ひょんなことからオートボットの一員、バンブルビーと知り合った平凡な青年サムは彼らの戦いに巻き込まれるも、奇妙な仲間や軍の協力を得て、オートボット勢の長であるオプティマス・プライムと共にディセプティコンの制圧に成功する。数奇な運命によって過去二度も地球を救ったサムだったが、その活躍は国家安全保障によって秘匿され、現在は大学を卒業したものの職もなく、美人の恋人との同棲もどこか居心地が悪い。戦いの中で絆を育んだ「親友」バンブルビーは国家機密扱いとなって容易に連絡をとることもできなかった。そんなある日、サムはようやく職を得たセキュリティ会社の不気味な同僚から国家の陰謀を聞かされる。60年代、米ソの宇宙開発競争の裏で密かに進行していた計画が今また動き出そうとしていた。


「人類初の月着陸を成功させたアポロ11号は世間に公表されていない「何か」と遭遇した」っていう陰謀説を本気にするつもりはまったくないけど、フィクションの中なら大歓迎だよ!なにこのX−ファイル*1的はったり大風呂敷感(笑)予告からチラチラ見せていた「月の裏側(ダークサイドムーン)の秘密」をこんなにきっちり作り込んでるとは思いませんでした。いいぞもっとやれ。ケネディ大統領の肉声だけじゃなく本人映像とさらにドキュメンタリー風映像まででっち上げたり、NASAの当時の映像に交えて陰謀を働くシーンを挿入したり。この映画、1作目から「セクター7」なんていういかにも怪しげな機関を登場させたりしていて、そういうネタも全力で盛り込でていてすごく面白かったですね。

よく「見た目だけ」とか「内容がない」とか言われる本シリーズですけど(確かに二作目はもっと手前にオプティマスが落ちても良かった…=長かった)、なんか私はそうでもないなあ、と思うんですよね。子ども向けの映画だし、ド派手な演出やきっちりいいところでかかる曲(今回のLinkin Parkはもう少し長めに流れてても良かった)なんかすごく分かりやすく盛り上げてて、確かにあまり深く「読む」タイプの映画ではないと思います。でも解りやすいだけあって(味方の目の色は青、敵の目の色は赤とか)余計なことをごちゃごちゃと考えずにすぱんっと素直に楽しめるんですよね。

今回特に良かったのは、バンブルビーとサムの仲を描いたシーン。このサムという主人公も本当に平凡で(顔がまた味わい深い)何の力もないただの男の子なんですよね。今回で三作目だけどこのシリーズはこの「平凡な男の子がかっこいい車と美人の彼女を手に入れて、でも自分の力でなんとか頑張る」という路線をきちんと守っている。ここはとても好きなところで、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」もこの系統だと思うんですよね。(あの名作と一緒にすんなとか言わないでw)マーティもサムも普段は冴えない感じなのに戦っている時はすごくきりっとしててかっこいい。そしてその相棒のバンブルビーがまたすごくいいんですよ。あああ、あんな車が欲しい。地球人から危険視されて去って行く時のシーンや、敵の捕虜となって殺されそうになった時のシーンとか、二人の間にある言葉にならない想いがそこにあるような気がして、バンブルビー、機械ですけどちゃんと表情があってそれが上手くそういうお互いを思い遣る気持ちを表しているように感じました。ううっ、いいシーンだったよ。

今回一番カッコ良かったのはなんと言ってもオプティマス・プライムなんですが、脇でちょこっと出ていたオートボット勢のメカニックじいちゃんみたいなキャラが好きでした。センチネルもだけど、機械なりに年寄り感を髭で表してるのが面白かったですね。

*1:そういえばX−ファイルでも月に行って連絡が途切れた数分感の間に「何か」に遭遇した宇宙飛行士の話があったな