マルドゥック・スクランブル 燃焼

賭博師シェルの卑劣な罠にかかるも、スクランブルO-9のドクターイースターとウフコックの助けにより九死に一生を得た少女バロット。しかしシェルが雇った殺し屋たちが彼らの隠れ家を襲う。自ら選択して戦うことを選んだバロットはドクターが施した技術を瞬く間に体得し、新たな相棒となったウフコックと共に殺し屋たちを迎え撃つ。しかしその戦いの中でバロットは復讐に目覚めてしまい、万能道具であるウフコックはその「濫用」に耐えきれずに拒否反応を起こしてしまう。無防備になったバロットに、かつてのウフコックの相棒ボイルドが襲いかかる。

前作「圧縮」に続くシリーズ2作目です。先に小説の方を読んでいたので、今作に登場する天才スピナー(ルーレットを回転させるディーラー)ベル・ウィングがどう描かれているかとても楽しみにしていましたが、おおすごい!イメージぴったりでした。年老いるということがただただ何かを失って行く事ではなく、何かを積み上げて行くということ、積み上げざるを得なかったとも言うのか、そういうものを持っている老齢の女性というキャラクターなんですが、そのいろんなものを見て来た者だという感じがよく出ていたし、声もすごく合っていて良かったです。ベル・ウィングの登場ってすごく短いけど、その後のバロットとウフコックの協調に欠かせない、バロットの流れを読む感覚に重要な指針を与えていると思うんですよね。ベル・ウィングとバロットの、先生と生徒のような緊張感を保ったままの親密過ぎない会話のシーンがすごく好きでした。
それと小説の方で描かれていた、勝負の呼吸を読むシーンがきちんと演出されていて良かったですね。もうちょっとしっかり呼吸の間隙を鋭く突く感じでも良かったくらい。ポーカーで合図の声をかける時にテーブルのメンバーの無防備な呼吸の隙を付いていかさまを破るというシーンなんですが、やっぱりこういうのは絵で観ると面白いなあと思います。それとカウンティング(ポーカーの札を全部記憶するいかさまの手法)の表示がウフコックが化けてる手袋に現れたりするのも絵で観た方がいいな。
そしてなんと言ってもこの映画で一番号泣(えっ)したのはドクターのシーンでした。自分勝手な行動でウフコックを傷つけてしまったバロットが強い後悔に苦しんでいる時にかける言葉とか、復帰したウフコックに対してどう償っていいか分からなくてただただ泣くだけのバロットを気遣って「コーヒーでも入れて来ようかなー♪」なんて言ってウフコックと二人を残して去って行くシーンとか、彼が出ているともう涙どわーと出て大変でした。ううーあんたいい人だよー。

さて次回も魅力的なキャラクターが登場し、いよいよボイルドとの決戦となります。うわー結末知ってるけどすごく楽しみだわー。