世界侵略 ロサンゼルス決戦

アメリ海兵隊に所属するナンツ二等軍曹は前回のミッションで部下を失い精神的に傷つき退役することを決意する。その背景では、世界同時多発的に宇宙から謎の飛行物体が次々と首都圏に飛来していた。

いやー今回もあぶなかったね。地球。まあでも余所のブログで言及されていたけど、地球は米軍が守ってくれるから大丈夫なんですっ。*1というわけで、今年何度目かの侵略映画。容赦ない宇宙人に抵抗する人類の壮絶な戦いをぶっ続け2時間たっぷりと描ききっていました。

正直に言うと、ストーリーらしいものはほとんどありませんでした。自分の判断のせいで部下を殺してしまったナンツの葛藤や、ナンツの部下だった兄を亡くした弟のロケット伍長との確執と和解も、まあまあ良かったと思います。でもこの物語がどれくらい映画の面白さに直結しているかというとそれほどでもない気がするんですよね。
それでもこの映画面白いんですよ。例えば、宇宙人の侵略が開始されて、全員がサンタモニカに集結してブリーフィング(事前作戦説明)を受けるシーンがきっちり作り込まれていて、これから彼らがいつまでになにをするべきか、そしてそれがどれだけ困難か、というのがはっきりと説明されているんですね。最初は警察署に取り残された民間人の救出ミッション、状況が進行して行くにつれて予期せぬ事態に遭遇してはミッションが細かく調整され、その度に観客に明示的に説明される。
そう、私はこの映画を見ながら、ゲームをしている気分でした。もう画面にいつでも進行中のミッションやマップ、味方のステータスを呼び出せるような気がしていたくらい。そういうゲーム的な建て方をしているのは多分意図的で、演出でも時々FPS(一人称視点のシューティング)らしいシーンが挿入されていたし。中盤でのナンツのスタンドプレイも、ゲームデザイナーが上級者向けにボーナス要素として配置していそうな感じがしたんですよね。あれ、ゲームだったら私は絶対に行かないわ。失敗する(笑)
この映画が二時間もどんどんぱちぱちやってても見飽きないのは、そういうどこかでゲームプレイを観ているかのような感覚があるからじゃないかと思います。ゲームで二時間は結構あっという間だしね。昔からゲームは「映画的」という方向を目指して来たけど、最近は映画の方が「ゲーム的」な要素を積極的に取り込んでいるような気がしますね。それはFPS的な視点という演出だけでなく、ゲームの操作から得られる物理的な感覚、グレネードランチャーは放物線を描くから着弾を見極めるのが難しいとか、弾薬切れはごく普通にあり得るとか、戦場は以外と視界が利かないとか、現実の戦場を参考にしているというよりは仮想の戦場の感覚を参照していると思うんですね。だって多くの人にとって、現実の戦場よりもゲームの戦場*2の方が身近だから。このゲーム的映画という現象はなかなか面白いんじゃないかなと思います。

*1:そうすると内部から襲ってくる怪獣に対しては日本の自衛隊の方がエキスパートだろうな

*2:そしてゲームの戦場は実際の戦場を参考にしながら作られている事が多い。メタルギアソリッドもそうだし。