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ラジオ局で働くアダムは、親友のカイルや恋人に囲まれてごく普通の生活を送っていた。ある日、腰痛で訪れた病院で唐突に癌を宣告される。まだ27歳、煙草も飲酒もしない自分がなぜ?生存率50%という厳しい条件の中で、アダムは親友のカイルや新たに出会ったキャサリンなどの励ましを支えに前を向き始める。

ライフハック(人生の知恵)や著名人の言葉に、「もし自分があと数年しか生きられないとしたらどうするべきか」っていうの、ありますよね。「あー旅行に行って、おいしいもの食べて、あれもしたいしこれも…」なんていろいろなことを考えてしまって「そうね、時間を大切にしなくちゃね」なんて思いながら5秒後にはネットの面白そうな記事をクリックしてしまったりして。私は今まで大きな病気をしたこともないし、なかなかそんな状態を我が身のことのようには考えられないんですよね。
だから癌を宣告されてしまった主人公のアダムを外側から観るしかできませんでした。親友のカイルや、新米カウンセラーのキャサリンと一緒に。自分がそんな状態になってしまうことも辛いと思うけど、友だちや家族が病気で苦しんでいるのもやっぱり辛い。病気の苦しみは、肉体的なものだけでなく、その状態から逃げることができないという精神的なものも相当大きいと思うんですね。どうやったらそのストレスを和らげてやれるのか、親友のカイルの勇気も、カウンセラーとして責任を全うしようと悪戦苦闘するキャサリンも、親として厄介に思われても心配するお母さんの気持ちも、そしてアダムの元から逃げ出した恋人も正直だと思う。そういう誠実さ、病気という人間がどうこうすることができないものに対して、一人だけじゃなくてみんなで手探りで道を探して行く、その関係がとても心強く素敵でした。結局生きてるから勝ちだ、幸せだ、という結論ではなく、不謹慎な話だけどこの物語は主人公の死で終わったとしても幸せな結末じゃないかなと思います。

主演はジョセフ・ゴードン・レヴィット。アングルによってはウッチャンに似てるなあとか思ったり。とほほな笑顔をさせたら世界一です(自分基準で)新米カウンセラーのキャサリンアナ・ケンドリック。おおお旬の若手二人ですなあ。「マイレージ、マイライフ」や「スコット・ピルグリムvs邪悪な元カレ軍団」などで活発で元気の良い女子の役の印象ですが、今回のおっちょこちょいで片付けできないだめな女の子もすごく素敵でした。