ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン

気が合うようで微妙に合わない恋人となんとなく付き合い続けているアニーは、母親のコネで雇われたジュエリーショップでなんとなく働いている。以前はお菓子作りの腕を生かしてケーキ屋さんを開いたのだが、不況で閉店。それまで貯めたお金も自信も失ったけど、親友のリリアンとそんな失敗を笑い飛ばしてなんとなく平凡に暮らしていた。そんなある日リリアンから結婚すると打ち明けられ、アニーはブライズメイズ(花嫁介添人たち)のまとめ役を任される。しかし、リリアンのブライズメイドたちはアニーも含めて厄介者ぞろい。果たしてリリアンの結婚式はー。


ブライズメイドっていう習慣は初めて聞きました。披露宴当日に花嫁に付き添ってお世話したり余興を盛り上げたりする役目だけじゃなくて、独身最後の記念旅行を企画したり、婚前パーティのプレゼントを用意したりするんですね。へええ。これ北海道だけかもしれないけど、似たような役で発起人ってやつがありますね。披露宴の受け付けをしたり、手作りカード作って席に配ったりするんですが、これ、やったことがあります。発起人よりブライズメイドって言った方がカッコいいよ。

物語の方ですがかなりどつぼにハマりました。うわああなんだこのあるある感(笑)相性ぴったりの理想的な彼氏(しかも金持ち!)にプロポーズされて晴れて上流階級の仲間入りのリリアンと、相性合わない彼氏となんとなく惰性で付き合って自虐のスパイラルにハマり、しかも夢破れて貧乏な上に弟とルームシェアする部屋から恋人と暮らすから出て行って、って言われる真逆の立場のアニー。でも二人の間には多少の嫉妬や優越はあるかもしれないけど、そういうのを越えて仲がいいんですよね。すごく良かったのが、冒頭のチョコレートのカップケーキを食べながらおしゃべりしてて、わざと歯にチョコレート付けて笑ってみせたり、彼氏のチ○コってこういう感じーとか、「ウチらバカだよね」っていう連帯感がすごく伝わって来て、この感じすごく分かるわーと思いました。
で、そういう女の連帯感の危機がこの物語の軸になると思うのですが、そこでパートナーの男を出すのではなく、別の「親友」を出すところがすごくぐっと来ました。リリアンブライズメイズの中に、ヘレンという生まれも育ちも筋金入りの金持ちの女性が登場して、リリアンの一番の親友よ!という振る舞いをするんですね。で、このヘレンとアニーの初対面の時のアニーの顔が、またもう解りやすいくらい「あ、こいつ嫌い」って顔をするんですよね(笑)いやー分かる。私も嫌いだもの、ヘレンみたいな金持ちのお嬢さんっぽい人。で、リリアンリリアンで、アニーにもヘレンにも分け隔てなく接するんだけど、アニーからしてみれば「なんであいつの肩持つのよー!」って感じなんですよね。これ、なんなんだろう。いくら友だちだからって全部知ってるわけじゃないし、自分以外の知らない友だちだっていてもおかしくないのに、「私が一番知ってる!」って勘違いしてしまう。しまいには、関心のひっぱり合いにまで発展してしまうのは映画ならではのおかしさだけど、あの気持ちはすごく分かるのよね。この前友だちの結婚パーティに出た時にその場には知らない人ばかりで、ふっと私ってこの人のことそんなに知らないんだなあ、と思ってちょっと寂しくなりました。(お嫁に行っちゃうのももちろんだけど)子どもっぽいことはしなかったけど、なんか私ここに居るよー!って言いたくなりましたね。なんだろう、女の連帯感っていうともう面倒くさいことばっかりなんだけど(笑)、それなりにそういうのを必要としてるんだなあ。
その子どもっぽい関心を引く行動がエスカレートして、アニー自身の問題までずるずると引っ張り出して来てしまうのはすごく上手いなあと思いましたね。なんかネットとかにはライフハックとかたくさんあるけど、そんなに効率良く行かないことだってある。なんかもうめちゃくちゃになって叫ぶ気力もなくて、アニーがぼそっとふぁっく、って呟くシーンがぐっときました。

アニーのはっちゃけたりおどけたり落ち込んだりする時の独特の重くならない雰囲気がすごく素敵でした。あと一際異彩を放っていたミーガン。すごく特異なキャラがブレなく最後まで(最後ちゃっかりしてて笑った)突き通していて面白かったです。