- 作者: 大森望,日下三蔵
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2012/06/28
- メディア: 文庫
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2011年の年刊SF傑作選。震災の影響や、小松左京先生の逝去など今回は他の年に比べて明確な背景のある作品が集まったのではないでしょうか。まーここまでSF読んでて小松左京はあまり読んでないというね…。ラスボスにたどり着く前に、いろんな面白いのが立ちはだかって来ちゃうんだもの。ううう。いくつか印象に残ったものをピックアップ。
- 神様 2011(川上 弘美)
「熊と放射能」というネタをたまに見かけるんですが、これなにか元ネタがあるのかなあ。熊と散歩という不思議な風景の中にある、静かな、目に見えない呪いのようなもの。ファンタジーのような優しい語り口の中に突然重さを持って登場する、被曝線量という言葉がすごく印象的でした。
- いま集合的無意識を、(神林 長平)
難しい。SF作家によるSF作品の批評とも読めるし、その批評を基盤に使った、<リアル>と<フィクション>についての物語でもあるんじゃないかと思います。うーん、知能と意識の、その次かあ。
- 超動く家にて(宮内 悠介)
動く!ちょう動くよ!家だけじゃなくて一文章ごとに設定がごんごん動くのに、決め台詞だけ定点的に固定されてるのが面白かったです。あと挿絵がバカっぽくてすき。
- 良い夜を待っている(円城 塔)
おおお!これはけっこう面白く読めた作品。いつもなにかはぐらかされてるような、とぼけられてるみたいなそんな印象の円城塔さんの作品ですが、これは不思議空間での家族の肖像がとてもあたたかくて面白かったです。
- <すべての夢|果てる地で>(理山 貞二)
いやなんだろう設定の理数系っぽいことはよく分からないのですが、難しい言葉でなにかそれっぽいことを言ってる台詞はすきです。そのよくわからない世界の中で、ちょっとおかしな相棒たちを連れて奮闘する主人公が良かったですね。なんとなく、映画「トランスフォーマー」のサムみたいで。ちなみに<過程のボブ>が好きでした。あとでかい建機出て来た!でかいのすきー。