プロメテウス

「エイリアン」の前日譚となる物語。

すごく読み取るのが難しい映画でした。アクションや背景の造り込みが大掛かりで魅力に溢れているだけ、表層的な表現に夢中になってしまうんですよね。それと「エイリアン」シリーズきちんと復習しないまま観ているので(「エイリアン」だけは観直したけど)ところどころに埋め込まれた記号もたぶんかなり見落としてます。

そんな状態なのでどちらかというとSF作品の一つ、という感じで観ました。SFとしては古典的な宇宙の謎や人類の起源を扱っていて、小説で言えばスタニスワフ・レムや、J・P・ホーガンあたりの雰囲気が近いかな。人間の想像を遥かに越える存在とのコミュニケーション、人間はどこから来たのかという際限ない好奇心。ただ小説のようにSF的な仕掛けを明確にしようという意図はあまり感じられなくて、ただそのファーストコンタクトの事件を、好奇心によって突き動かされる人々の行動を淡々と追いかけて行くような感じでした。体裁はフィクションなんだけど、どここかドキュメンタリーっぽい感じもしたなあ。

「エイリアン」をなぞるような物語の展開は、今作と初作(共にリドリー・スコット監督)を比べてみるといろいろ見えてくるかもしれません。最終的にリプリー(「エイリアン」の主人公)はこちら側へ、エリザベス(今作の主人公)はあちら側へと飛び去って行くというのは、大きな意味を持っているんじゃないかな。

今作の主人公、エリザベス・ショウを演じたノオミ・ラパスさんが最高でした。これまで魅力的な粗暴さのある女優さんだなと思っていたのですが、今回は女性らしさもあってすごく素敵でしたね。そういう一面もありながら、本領とも言うべき壮絶なアクション(ほんとグロくて笑った)もきっちり魅せていてとても楽しかったです。