マルドゥック・スクランブル 排気

マルドゥック・スクランブル」シリーズ第3弾。そしてこれが最後。

当然小説は読んでてもう結末は知ってるんだけど、それでもやっぱり自分が読みながら想像してたシーンが想像以上の質で目の前で繰り広げられるとすごく面白いよね。ボイルドとの決闘の場面の見応えもそうなんだけど、この物語のもう一つの盛り上がりのシーンである、カードの達人アシュレイとのポーカー戦がすごくよかった。確かにポーカー戦の数字の細かい流れやゲームのダイナミズムは小説の方が詳しくて楽しいんだけど、映像で見るとゲームに翻弄されるバロットの焦りとかそれをフォローするドクターや冷静にバックアップするウフコックとの連携がよく見えるんだよね。それと最大の強敵アシュレイの冷徹さと、カードを自分の一部のように扱う得体の知れなさ、そういう外観や声優さんの演技から出てくる緊張感がすごく面白い。そうそうこういうのはやっぱり映画でなきゃって思う。バロットがとんでもない金額をさり気なくテーブルに置く優雅さと度胸とか見ててぐっと来たなあ。アシュレイの兄のエピソードを語る時の世間話風な淡々とした中に、この人の人生の核になったものが感じられたしね。
ポーカー戦以外でも、バロットがシェルの婚約者の秘密を悟った時の悲痛な叫びや、最後に自らの手で大切なものに手を下したウフコックの慟哭(あれはもう泣いてるでしょ?)、そういう小説ではない、動きや音が圧倒的だった。それと今回もやっぱりドクターに泣かされたな。今回はあんまりカッコいいところはないんだけどむしろドクターはそんなちょっぴりヘタレなところがいいんだよね。最後までバロットの側に居てくれる一人として本当にいいキャラクターだったな。