天地明察

天地明察 上 (角川文庫)

天地明察 上 (角川文庫)

冲方丁さんの時代小説です。囲碁の名人であり、日本の数学(和算)を学んだ人であり、そして暦を作り上げた主人公、渋川春海がとても魅力的で楽しかったです。なんていうかこの主人公、すごくかっこ悪いんですよね。全身全霊を賭けて間違える。でも、なんかそういう間違いをおかすということに傷ついても、それを乗り越えて次に進んで行く。その熱意や、間違いを認める謙虚さがすごく良かった。最近はちょっとでも間違えるとすぐ叩かれたり、揚げ足取られたりして気が滅入ることが多いけど、全力でやって結果的に間違えるのは全然悪くないなと思いますね。この主人公の間違いは、決して「なかったこと」にされない。いつまでも間違いは間違いのまま存在するんですが、それがいいなと思いましたね。恥ずかしいけど、いつか「ああ、間違えちゃったなあ」って言える方がいいよね。