盤上の夜

盤上の夜 【創元日本SF叢書版】 (創元日本SF叢書)

盤上の夜 【創元日本SF叢書版】 (創元日本SF叢書)

宮内悠介さんの、盤を使うゲーム、囲碁や将棋、麻雀などを題材とした短編集です。「天地明察」の主人公も囲碁の名人でそういう描写がところどころ出てくるのですが、この作品にも出てきてちょっとした囲碁ブームが来ているみたいです。いやーでもこの手のゲーム、ほんと苦手。というか、私の得意なゲームって一体なんなんだ…。面白いのはゲームの内容をこと細かに描きながら、それとは別の事象に絡める構成。一見なんの関係もなさそうな事柄が、ゲームの流れや、ゲームそのものの理論性(完全解というやつですね)と融合する、SFでなければ書けない物語ばかりで楽しめました。ただちょっとなぜかこの作品に登場する女性が大変な目に遭っていたり生活が破綻していたりと、なにかと不幸(笑)なのが気にかかりましたが。まあ、本筋にはあまり関係がないんだろうけど。「清められた卓」と「象を飛ばした王子」が良かったな。