GODZILLA

ゴジラ、観てきました。これまでのシリーズをちゃんと観てるわけでもないんだけど「ゴジラってこういうものだ」というもの、そのままの映画でした。怪獣が街を壊す、そういう映画。
観ていて正直に思ったのは、ハリウッドは語ることを恐れないな、ということ。他国のことだから出来るのかもしれないけど、311のイメージをスクリーンにのっけてしまう大胆さ、それを恥ずかしげもなく物語に組み込んでしまう度胸、そういうものをひしひしと感じました。それくらい311を彷彿とさせるシーンがけっこう出てくるので、これ、最初に警告出した方がいいと思うな。津波のシーンはかなりリアリティがあって怖いですよ。


個人的なことになってしまうけど、私は311、経験してないんですね。当日は海外旅行で日本を離れていました。そんな旅行中に飛び込んで来たCNNかどこかの速報を、異国の地で見ていました。そう、映画のワンシーンにあったあの映像。あの映像が私にとっての311なんですね。もちろん帰国した後ニュースは見ていたけど。遠く離れた母国が大変なことになっている。国内のニュースではすぐに東北地方と出ていたかもしれないけど、海外のニュースでは日本としか出ていなくて日本のどこなのか、もしかして日本全土があんな状態なのかもしれない、とかなり真剣に思いましたね。
遠く離れたところから母国の悲惨な状態を見つめること。この映画に登場するフォードという男性は怪獣が引き起こす災害の後を目の当たりにしながら、怪獣たちを追うように帰国します。もうね、どうしようもないですよ。急いで帰るにも帰れないし。一応携帯はつながっていたみたいだけど。
なんだかそういう、目の前の事に対してなにもできない無力感、画面ごしにしか確認できない現実がもどかしい焦燥感にすごく共感しましたね。



それとゴジラという怪獣の存在ですね。怪獣というのはもちろん災害のメタファーであり、敵対する怪獣ムートーとゴジラの戦いは、簡単に言えば自然現象をなぞらえたものですよね。そういう人間とは別次元の現象に対して、人間は物語ることでしか自分たちのものにすることができない。ゴジラは決して人間のために戦っているわけではないのに、人間は自分たちの次元に引き摺り下ろさなければ物語れない。今作のゴジラはヒーローでも悪役でもない、あくまでただの現象という位置を頑に守っていたと思います。その点がすごく良かった。最後にふっと芹沢博士が見せる微笑みだけが、この映画におけるゴジラの位置をさりげなく指し示している点も良かったですね。



劇中、ゴジラとムートーはずっと闇の中で戦っているんですよね。その全貌が明らかにされない。明らかにされない分、その大きさや圧倒的な破壊力が暗闇を突き破るように押し寄せてくるんですよね。その迫力が最高でした。もうね、でかいものが動くだけで私には最高の娯楽だよ!でかさを演出するカットもすごくよく練られていて、橋の下をくぐるムートーを背中越しにとか、高高度パラシュート降下(ちなみにこのシーンMGSファンの人はちょっとあっw!って思うようなシーンでした)からのゴジラの顔面ショットとか凄かったですね。鳴き声も最高でした。ふんぎゃおーー!



芹沢博士を演じた渡辺謙さんがやっぱり良かったです。「我々は彼をこう呼んでいる…ゴジラ」と、どや顔で決めたときはちょっと笑ってしまったけどw…すいません。
それとすごく面白い映画だったけど1つだけ物足りないなと思った点は、やっぱりあのテーマ曲がないことかな。ゴジラはあのテーマ曲あってこそだと思います。