ニンジャスレイヤー キョート・ヘル・オン・アース(1)

あらすじ
マルノウチスゴイタカイビル。ネオサイタマを支配するソウカイヤの抗争に巻き込まれ、妻子を喪ったフジキド・ケンジはその場所でニンジャを殺す者、ニンジャスレイヤーとなった。様々な出会い、事件を経てニンジャスレイヤーはソウカイヤのトップ、ラオモト・カンを打倒。直後、ネオサイタマはキョートからの侵略者によって炎に包まれる。妻子に直接手を下したダークニンジャを追って、ニンジャスレイヤーは新たな戦場、キョートへと向かうのだった。


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キョート編も現在6巻までリリースされているニンジャスレイヤーです。もう少しすると続編ヘル・オン・アース(上)も発売予定ですが、ここらで一度まとめようと思います。たぶんこのヘル・オン・アースでキョート編も終わり、かな?


いやー。なんだろう、このシリーズってギャグ路線というかたちで認識されていると思うんですが、きちんとしたバトルものでもあるし、きっちりした世界観はSF的だなあと最近思うようになりました。まあ基本的にはおもしろ小説なんですけどね。

バトルものとしてのニンジャスレイヤー

妻子を殺された復讐に駆り立てられるニンジャスレイヤーに対し、組織的な敵が次々と襲いかかってくるという構成はキョート編でも健在です。キョートではザイバツがニンジャスレイヤーと敵対しています。さらにニンジャスレイヤーにはネオサイタマ編からの宿敵、ダークニンジャという強大な敵も存在しているんですね。ニンジャスレイヤーとダークニンジャは時折、カラテを交えては様々な状況から勝負が先送りになったままです。
ネオサイタマ編ではラオモト・カンがいわゆるラスボスであり、そこにたどり着くまでに中ボスが待ち構えているという、古典的な構成でした。今回のキョート編でもザイバツの中で似たようなヒエラルキーを持ち、ニンジャスレイヤーはそれを少しずつ撃破していく、というおなじみの展開です。
ただネオサイタマ編と異なるのは、ニンジャスレイヤー自身が強くなっていることなんですね。これってバトルものによく見るジレンマで主人公が強くなる展開にそってさらに敵も強くしなければならなくなり、どんどんその階層が破綻していく、というものです。当然このシリーズもそのジレンマを抱えるんですが、その解決として敵(ダークニンジャ)も最終的なライバルとなるように成長する、という手法を取り入れているんじゃないか、と思いました。
ネオサイタマ編のダークニンジャはその存在は謎に包まれていて、ソウカイヤとも異なる動機で動いているようなところがありました。しかしここまでのキョート編では、その生い立ち(カース・オブ・エンシェント・カンジ・オア…、ドゥームズデイ・ディヴァイス、など)が詳しく描かれているなど、ここまで謎めいてニンジャスレイヤーに対峙していたダークニンジャの姿が具体化してきたように思います。最終的な敵となる(はずの)ダークニンジャを、ここから見せつつ、彼の企みを展開させていく。ザイバツがネオサイタマに続く経糸なら、ダークニンジャという要素を緯糸として見せることで、バトルものの奥行きを出しているのではないかと思います。
そんな中で一番すごいと思ったのは、ドゥームズデイ・ディヴァイスの1シーン、なんとニンジャスレイヤーとダークニンジャが背を向け合って互いを庇うようにして戦っているシーンです。あーこういうところ、すごく「わかってる」なあ(笑)こういうの見たかった。まああくまで状況的にそうなってるだけで、別に両者が助け合ったわけではないんですが、こういうダークニンジャがニンジャスレイヤーという存在に肉迫していく過程がこのキョート編では面白いところでした。



それではここまでのリリース作品から印象に残ったエピソードを。

ニンジャスレイヤー ザイバツ強襲!【ドラマCD付特装版】

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マーメイド・フロム・ブラックウォーター
意識を持つオイランドロイドやバイオイーグルなど、ポストヒューマンが多く登場するSF色の強いストーリー。こういうのベタだけどすき。


ニンジャスレイヤー ゲイシャ危機一髪! (キョート殺伐都市 # 2)

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ウェイティング・フォー・マイ・ニンジャ
女子高生ニンジャのヤモトはオカマのニンジャ、ザクロことネザークイーンの元に転がり込むも、彼らの住まう街では猟奇殺人事件が起こり、ヤモトが囮となって犯人を誘い出すが…。
ザクロさんがすごく素敵で楽しかったです。ニンジャスレイヤーに一目惚れのシーンを挿絵にしてくれるあたり、ほんとすごく面白かった。フジキドは家庭がある(あった)からねえ(笑)ヤモトにも少しだけ安心できる場所ができてよかった。


ニンジャスレイヤー 荒野の三忍 (キョート殺伐都市 # 3)

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チューブド・マグロ・ライフサイクル
この3巻は他にもブレードヤクザ・ヴェイカント・ヴェンジェンスとか怪奇小説っぽいものが印象的でした。まあチューブド…は最後の兄さんが言いたかっただけじゃないかと(笑)


ニンジャスレイヤー 聖なるヌンチャク 【ドラマCD付特装版】 (キョート殺伐都市)

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カース・オブ・エンシェント・カンジ・オア…
ダークニンジャ、そしてハガネ・ニンジャにまつわる宿命とフジオ・カタクラ個人の過去が描かれたストーリー。こっちもなんだか大変だ。


ニンジャスレイヤー ピストルカラテ決死拳 (キョート殺伐都市 # 5)

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リブート・レイヴン
キョートでニンジャスレイヤーと共に戦う、探偵ガンドーのストーリー。なんだこの、おっさん好きをピンポイントで狙い撃ちするようなエピソードは(笑)正直、助手のシキベがうらやましいです。ううーん。すき。


ニンジャスレイヤー マグロ・アンド・ドラゴン (キョート殺伐都市 # 6)

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トビゲリ・ヴァーサス・アムニジア
タイトル通りアムニジアことユカノが再登場で、衝撃の事実が発覚です。ユカノ覚醒の時の、アンブッシュには何点もらえるかしら?のくだりはちょっと泣けた。ネオサイタマからナンシーサンも参戦して、いよいよキョート城攻略の準備が整ったようです!次巻が楽しみ!