血界戦線

ここ(北海道)では放送してませんが、漫画「血界戦線」のアニメ放送中だそうで。今はネットでも配信しているみたいだけど、普段アニメ観ないからアカウントとってまで、ってのは敷居が高いですねえ。うむむ。でも漫画は面白いので既刊そろえてます。んで、先日めでたく10巻目発売だったのと、ストーリーに1区切りついたみたいなので感想をまとめてみます。


魔封街結社

血界戦線 1 ―魔封街結社― (ジャンプコミックス)

血界戦線 1 ―魔封街結社― (ジャンプコミックス)

既刊通してキーになる「神々の義眼」のエピソードを中心にシリーズの自己紹介的な巻ですね。舞台となる元ニューヨークのヘルサレムズ・ロットの風景とか、秘密結社「ライブラ」のメンバーたちとか、まだよそよそしい。主人公(だよね?)レオが初めて来た街の大きさ、彼が初めて会う異世界の人たちとの拙いコミュニケーションが新鮮だなあと感じました。この作者である内藤泰弘さんの「トライガン」という漫画があるのですが、こちらはずっと一人の主人公がほとんど一人で頑張っているお話だったのに対して、今作はかなり「チーム」を意識しているのかなと思います。幽霊車両を追うエピソードはなかなかのチームワークで面白かったですね。


世界と世界のゲーム

血界戦線 2 ―世界と世界のゲーム― (ジャンプコミックス)

血界戦線 2 ―世界と世界のゲーム― (ジャンプコミックス)

基本バトルもの漫画なんですが武力ではなく頭脳戦での戦い方を描いていたり、(他のメンバーに比べて)非力なレオが、いかにライブラの戦いに参加していくかが丁寧に描かれていて楽しめました。ちなみにライブラの女性キャラのなかで一番好きなK・Kさん初登場です。この人のおばちゃんマインド、めっちゃ親しみ覚えるわ。徐々に登場人物が増えていきつつも、既存のキャラとの絡みがきちんと描かれていてチーム内の空気感が徐々に明らかになっていく過程も丁寧でした。


震撃の血槌

血界戦線 3 ―震撃の血槌― (ジャンプコミックス)

血界戦線 3 ―震撃の血槌― (ジャンプコミックス)

ティーブンさんちのホームパーティからザップさんの猫騒動に、レオのちょっとした事件をうまく絡めたエピソードがとても上手いですね。後の巻にも出てくるけど、こういうストーリーのピタゴラスイッチみたいなのすごく面白い。一方で、新キャラを混ぜながらパワフルにどたばたに、また世界を救ってしまう豪快なタイトル話も良かったです。この作者さんの漫画、開いた瞬間どうなってるか分からなくなることがたまにあるんですが(笑)、描き込みがすごいというかモノやキャラだけじゃなく擬音もがっしがし描かれてて、その大味なインパクトが好きです。


拳客のエデン

血界戦線 4 ―拳客のエデン― (ジャンプコミックス)

血界戦線 4 ―拳客のエデン― (ジャンプコミックス)

少年漫画の王道っぽいタイトル話、登場していたけど控えめで目立たなかった執事の秘密、K・Kさんちのお話、とすごくバリエーションの広い巻です。執事のギルベルトさん、こわかっこいい。テンプレ的だけど、普段物静かな人が本気出したら怖いっていうの好きなんですよね。まじ怖いよギルベルトさん。


Zの一番長い日

血界戦線 5 ─Zの一番長い日─ (ジャンプコミックス)

血界戦線 5 ─Zの一番長い日─ (ジャンプコミックス)

いやこれね、ザップさんのエピソードもいいんだけどチーズバーガーの話がねすごくいいんだよ。ライブラという、超人集団だけが活躍するのではなく、大きな力を持たない普通の人たち(異世界の人を含む)が日常の些末なことに挫けたりちょっとしたことに喜んだり。そういう機微が丁寧に描かれていて好きなエピソードですね。タイトル話はザップさんとツェッドさんの連携がかっこよかったのでそれでいいです。(適当)


人狼大作戦

血界戦線 6 ─人狼大作戦─ (ジャンプコミックス)

血界戦線 6 ─人狼大作戦─ (ジャンプコミックス)

食べ物の話、すごくいいんですよね。チーズバーガーの話とは違って、ギャグに大きく振ったお話でどたばたでゴチャゴチャ感がすごくいいです。タイトル話は不可視の人狼、チェインさんのエピソード。これまでなにかしらザップさんと(犬猿的に)絡みはあったけど、あまり目立たない感じでしたが(Not 控えめ)チェインさんの一面が見えて面白かったです。それと、ヤクザ庭師のお話ですね。なんていうか、本編よりもこういう小話の方がなんか面白いんですが。


マクロの決死圏

チーズバーガーのエピソードのような普通の人たちの世界を、強者の世界へ展開させつつ、また普通へと戻す、とてもダイナミックでありながら「普通」の繊細さを失わないエピソードでした。あと、世界最大の個人、ギガさんがちょっとだけ活躍。ギガさん好き。
それと後半の異世界ピタゴラスイッチ的な話が良かった。なんだかんだ言ってZの二人はいいコンビですね。


幻界病棟ライゼズ

いややっぱり、食べ物の話面白いよな。こちらもギャグに振ったお話。K・Kさんが料理の美味さにフラッシュバックするところで盛大に笑いました。どんなだ、どんな美味さだ。
タイトル話はリベンジ戦と新キャラ登場のエピソード。ザップさんが大活躍です。(ある意味)


鰓呼吸ブルース

ツェッドさんを巡る事件に、ザップさんとチェインさんとレオが頑張るお話。世界がうんたら、というのもいいけど、仲間を助ける、というシンプルな理由で動いている方がなんだか面白いですね。なんだかんだと面倒見いいやつなんだよ、ザップさんは。いろいろ残念だけど。チェインさんもいつもより本気です。まじ怖いよ。
なんだろうな、この漫画タイトル話より、それ以外のエピソードが面白い巻が多い気がする…。K・Kさんの授業参観のエピソード。ギャグ路線で行くかと思ったら途中から意外とシリアス方向に向かって行ってびっくり。オチもちょっと切なくて良かったです。いい家族だ。


妖眼幻視行

「神々の義眼」のエピソード。すべて解決というわけではないけど、一定の終わりを描いた巻だと思います。いやしかし妹(ミシェーラ)、強いねえ。精神的な強さは既に最初のエピソードで描かれていたけど。けれど多くの人はレオのように立ち竦んでしまうんだと思うんですよね。レオはヒーローもののように強くなりません。普通の人のままです。義眼は彼に多少力を与えるけれど、それによってレオが急に変わってしまうわけではない。彼には打ち克つ強さはないけれど、踏みとどまる強さがあった。これはなかなかヒーローものでは描くことが難しい強さの種類なのかも。肉体的に、物理的に変化せずに、精神的にも劇的に鍛えられるわけでもなく、ただ変わらずにそこに立ち止まっているだけの、とても地味だけど、でもその強さは一番「普通」に近い。ヒーローのように強くはなれないけど、違う強さを持つことはできる。ほんとねえ、あの「集結」のシーンはレオと一緒に泣きたくなったよ。ああ、ヒーローたちがきた!って。



ふー。ここんとこ書いてるようにざっくりラフに感想書こうと思ったけど、面白い漫画だからやっぱり普通に書きたくなりますね。けっこう時間かかってしまうけどこのスタイルも継続させていきたいです。