血界戦線 オンリー・ア・ペイパームーン

漫画「血界戦線」、ノベライズです。と、言ってもオリジナルストーリーですね。ちらっとツェドさんが登場するのでストーリー上は5巻以降の時点での物語ぽいですが、まああんまり気にしなくても大丈夫です。


というわけで。いやーびっくりしたね。この漫画の魅力は、キャラクターはもちろん彼らの言葉使い、擬音語や技名がでかでかと描かれるコマなど、絵+「ことば」にあると思うんですが、それらが見事に模写されててびっくりしました。表紙や挿絵は当然、漫画作者の内藤さんによるものですが、台詞だけでなく地の文、構成が漫画そのもの。すごい精度高い。一方で挿絵に頼るのではなく、文字で表現する、というスタイルを頑に守っているところも良かったです。技名はでかいフォントでくるかと思った(笑)擬音語はさすがになかったけど、脳内でちゃんと再生されましたよ。ごごご…とかどどど!とか。小説という媒体を活かした展開もあったりと漫画と小説を絶妙にブレンドした手腕が素晴らしかったです。


今作は、漫画でもかなりのどたばた残念キャラ(笑)のザップさんをメインに、彼の「天才的な戦闘センスがありながら人柄が非常にアレ」をあますところなく、というかかなり振り切った演出で登場させていてすごく面白かったですね。かっこよさ二割増し、残念具合が三割増しな感じで。
かっこよさについては漫画でわかりきっているけど、厨二表現的な文がすごく似合ってたし、危機の盛り込み方もすごく良かった。残念方面もかなりぎりぎりまで落とし込んでいて、そこがストーリーのキーになっていたりするところが面白かったですね。


他のキャラもちょこちょこ登場していて、これだけで終わってしまうのはもったいない!チェインさんも少し登場したけど、もうちょっと読みたかったなあ。特にザップさん絡みで(笑)K・Kさんがわりと多めに登場しててくれて嬉しかったです。K・Kさん、だいすき。もっと読みたいなあと思わせる作品でした。2作目もあるといいなー。