天冥の標 10 青葉よ、豊なれ PART 1

 

 
さて。天冥の標シリーズもいよいよ最終巻です。
思えば8年くらい?もこの壮大な物語を追いかけてきたので、なんというか結末を読みたい気持ちとまだ終わってほしくない気持ちが半々くらいでなんとも複雑です。でも読むよ!

 

もうここまでくるとネタバレをせずに感想なんて書けないので以下ネタバレで

 

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文字の大きさ違うのなんで?

前回の記事はスマホでぽちぽち書いてみたんだけど、なぜか最初の段落だけ文字が大きくなってて、しかも見出しでもないという変なバグにちょっと悩みました。なんでだー。

 

さっきHTML編集をしてみたらなぜか段落にフォントサイズの指定が。。スマホから特に指定してなかったつもりだったけどなんか押ささったのかなあ。フォントサイズの指定部分のタグを取り除いたらフォントのサイズは整いました(当たり前だけど)

あ、ちなみに「(動詞)さる」というのは、北海道の方言で自分にも相手にも責任を取らせず、対象物に転嫁するような言い回しなので大変便利です。みんな使うといいべさ。(無理やりな方言)

 

はてなブログ、始めたばかりだけどまだ使い方で戸惑いますねー。わりと直感的にいける部分は多いんだけど。

零號琴

SF作家、飛浩隆さんの最新作。既刊はグランヴァカンスや象られた力などを読んでて、文芸的に想像させる力が半端ない作品が多いかな。食事のシーンとかめちゃくちゃ美味しそうに書く、ってだけじゃなくてそこに別の感覚、ちょっと性的なものも含めて読み手の脳内シアターの解像度をグリグリ上げてくる、まあいい意味でとても暴力的なフィクション、て感じです。個人的に。

 

で、これです。これまでの作品と比べると、お話がこなれているというか、あまりSF的な読み解きも暗黙の定義もないのでさほど迷子にならずにすとんと読めてしまうという印象。あれ、この人の作品ってこんな読みやすかったっけ?という感じで、それほどSF的な面白さはないかも。

や、でも音楽を題材にしたSFとしてはそれなりにネタぽいところはあるか。。うーん。そういう作品なのでSFを読む、というよりキャラクター小説のような感じで読んでました。

 

というわけで「キャラクター」が多分この小説のSF的な大きなネタ、なのかなーと思います。

お話の途中で「アレ?これは?」っていうところがだいたい20ヶ所ほどあるんだけど、これ人によってはもっとたくさん「あれっ?」ってなると思うんですよね。変なところに別のフィクションへのリンクがさりげなく(時にあからさまに)仕込んである。映画「レディ プレイヤーワン」が正攻法で堂々とフィクションをクロスオーバーしていたのとは異なり、この作品では二次創作のようなこっそりとした雰囲気があちこちにあるんですよね。もちろん、作品内で著作権に反することはないんだけど。

そんな風にどこかオリジナルではないようなお話を登場するキャラクターは強いられるわけです。

なんというか、これを読んでいるとお話に囚われているキャラクターたちの自由はどこにあるのかなあとか、そういう風に思うんですよね。

二次創作というのは、キャラクターの側から見るとオリジナルからの逃避先でもあり、どこまで行っても逃げられないフィクションの無間地獄のようでもあるのかな。

 

そういう、フィクションや作りものの世界の側からの視点という点では、既刊のグランヴァカンスに似てると思うんですよね。これはAIの人格から見た世界のお話だったし。

 

ちなみにキャラクターの中で印象的だったのは、トノムボロクでした。

この作品は場面場面で実写の映画のようでも、アニメのようでも、漫画のようでも、伝統的な美術画のようでも、多彩に想起させるメディアを切り替えてくるんですが、トノムボロクは実写のイメージがなぜか大泉洋さんだったんですよね。

なんか、すごくボヤいてるのシーンが多かったからかなあ。。で、頭はもじゃもじゃしてるイメージだったのが、長髪らしい記述に出くわして変なとこで笑ってしまったのが、個人的に印象的でした。やー、これ個々のオタク歴によって想起するものめちゃくちゃ変わるんだよ、ほんと。

 

 

零號琴

零號琴

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あけましておめでとうございます

はてなブログに引っ越してきました。

 

まだインポートが終わってないし、設定もあんまり変えてなくてほんとに引っ越し直後の何もない部屋って感じ。これからぼちぼちと変えていこうかなとおもいます。

 

さて2019年ですな。実は去年から通信制の大学に登録していくつか科目を選択してやってました。いずれは大卒コースに行こうかなって。で、普通に高卒レベルの知識で行けそうなのを選んでやってみたけど、けっこう難しいね!これはやばいね!(笑)

内容もなかなかに多いけど、だいたい週一くらいで授業を自分で進めていかないとあっという間に遅れてしまう。講義はネット配信だからいつでも見られるんだけど、そこに甘えちゃうとほんとやばい。いま、既に4コマくらい遅れてるし。

 

まあそんなわけで、2019年はちょこっと学業もしてみちゃったり、お仕事も年始明けから忙しいし、映画もそろそろ観に行かないとだし、まあまあやることたっぷりな一年になる、かもしれません。

 

というわけではてなブログからの初投稿でした。

今年もゆるくのんびりと、よろしくお願いいたします。

2018年のこと

この前ブログを書いた後、もうちょっと書くつもりだったのにもう今年最後の日になっちゃいました。あーあの本とかこの本とかの感想も書いておきたかったのに。。こういうのは読んだらすぐにやってしまわないとほんとダメだな。


それとこの記事をもってはてなダイアリーを卒業しようかと思います。サービスも来年で終わっちゃうしね。
はてなダイアリーは2007年9月から使ってました。11年くらい使ってたのかな。まああんまり頻繁に書いてたわけでもないので、年月のわりには記事が少ないけど、誰に強制されるわけでもなくマイペースに書ける場があるのはやっぱり良いなあと思うんですよね。
そんな11年のなかで自分的に一番お気に入りな記事は、2012年のNY・ワシントンDCの旅行の記事かな。基本的にこのブログは映画とか本とかゲームとかに特化して書こうかなと思ってたけど、こういうコンセプトから外れたやつが良かったりして、そういう自由にできるところもブログのいいとこなのかも。

2012-04-22 - ここでみてること


そんなわけではてなダイアリーにはお世話になりました。コメントやスターをくださった方、ありがとう。気ままに人のことは気にせず書いてるけど、たまに反応があると読み手をちょっとだけ意識してなんか緊張したり、えへへってなったり刺激が楽しいですね。
と言いつつも、はてなブログの方で引き続き書いていくのでこれからもよろしくです。


さてさて、今年のことを振り返らないと。今年はプライベート的に変化が大きい年でした。が、お仕事も住まいも変わった割にあんまり気持ちの変化みたいなのはないかなあ。お休みの日はぼんやりした生活を楽しんでたり、仕事が忙しくてひーひー言ってたりして、いやー大して変わってないな。。。
まあもう40を超えているので、新しい環境に緊張とかもしなくなってきちゃったし、お引っ越し先も以前に短期間滞在してたところなのでそんなに戸惑うこともないしねえ。
でも、まあいくつになっても「やってみっかなー」ってことにひょいと乗ってく身軽さは持ってたいなあと思います。
その「やってみようかな」と長年思ってたことの一つ、海外に滞在して暮らしてみる、というのを実現できたのは良かったなあ。若い頃から英語を習ってたり、映画を観たりしてたから海外の生活ってどんなかなあっていうのはずっとあったんだよね。
それも記事にすればいいんだけど、まあそのうち。


というわけで、今年は「いろいろやってみた」年でした。この後の人生に役立つとか、キャリアアップになるとか関係なく、本当に個人の好き勝手に生きたなあって感じ。


それでは今年の、そしてはてなダイアリーで最後の感想をまとめちゃいましょう。

今年の本

今年は新刊はあんまり読んでなくて、古典を中心に読んでました。まあ某出版社の電子書籍セールとかあったからね。。
で、今年の一冊は「死者の代弁者」



「エンダーのゲーム」のその後を描いた作品。少年だったエンダーが大人になって様々な星を旅していく、その身軽さがすごく印象的でした。

今年の映画

今年の映画は「ウィンド・リバー



サスペンス調のドラマでもあり、父性を描いた作品でもあり、現代を舞台にしていながら西部劇のような非情さもあっていろいろな層を持つ映画でした。ジェレミー・レナーさんの大ファンでもあるので、めっちゃかっこいいお父さんが素敵だったなあ。はあああ。

今年のゲーム

今年はいろいろ出かけたりしてたのであんまりやってないかなあと思ったけど、そこそこやってました。
今年のゲームは「Detroit become human」


Detroit: Become Human Value Selection

Detroit: Become Human Value Selection


自分たちの「生きる」権利を人間から認めてもらおうとするアンドロイドたちのお話。マルチエンドのアドベンチャーで選択肢がえげつないのが堪らない作品でした(笑)というかまだ全エンディング見てないんだよなあ。初見プレイがほんと印象的で、もう一回記憶を消して遊びたいゲームです。


という感じですかね。
今年もいろいろな娯楽を楽しみました。海外で映画を観たりとか、グラフィックノベルにちょっと興味を持ったりとか、変化があったのも良かったなあ。来年もいい作品に出会えますように。


それではみなさん、良いお年を!

斬、

塚本晋也監督作品です。最近は役者としてドラマや映画でお見かけすることの多い塚本監督ですが、映画作品の方は穏やかそうな雰囲気とは全然別の、言ってしまえば「強い」映画です。なんていうかお酒の強い弱いみたいな感じで、観ると五感や思考に強い影響を与えて、で、アルコールと違って醒めずにずっと残るんですよね。そういうところも含めて強いので、この監督の作品を観る時はぐいっといくくらいの心構えで観てます。


で。この作品です。明治維新直前の江戸時代の終わり。江戸から遠く離れた寒村で居候をする若い剣人と、村の娘、そして強い剣士を集めて変化する時代に抵抗しようとする剣豪の三人を軸に、タイトル通りの「(人を)斬る」という行為を通して人間を見つめる、そういう映画でした。


時代劇の形ではあるんだけど、武力と対話という構図や抑止力、復讐の連鎖などのテーマが織り込まれたドラマはとても生々しいんですよね。特に蒼井優演じる村の娘が復讐を請い願って絶叫するシーンは圧巻だった。人は無駄に死んではいけない。人は生き物のようになんの意味もなく死ぬわけにはいかない。人の死にはちゃんと誰かに語り告げる物語が必要で、そのことが人であることの意味でもあるし呪いでもある。一方、居候の若い剣士は人を斬る技を磨きながらも、人を斬る行為に連なる物語を見つけられない。誰かの人生の物語に句点「。」をつけることの暴力性に心理的にも肉体的にも惑わされているんですよね。その対比となるのが、娘の弟で血気盛んな若者です。彼は若さゆえの無知故に自分自身に対して過剰な自信を持ち、人を斬るということの意味を正しく認識することができない。ただ自分の力を証明したいだけ。仮に彼が人を斬ったところでそこに誰かの物語を想像することはできないだろうし、逆に彼は自分自身の物語を他者によって終わらせられることを想像することもできなかったと思うんですよね。
そしてこの物語で人を斬ることができる人たちというのは、もう明確に個人の物語ではなく時代や世の中というもっと大きなお話に飲み込まれている。剣士を探して旅をする剣豪は時代の変化に要請され、盗賊まがいの集団の頭領は生き延びるという最低限の一線を守るために。
この映画は人を殺すということを、そういう大きな枠から俯瞰して「仕方なかった」とはせずにどこまでも個人の領域に鋭く突きつけてくるんですよね。どういう理由があって、あなたは人の命を奪うのかということ。


このお話は暴力の行使のその次を問う映画でもあると思うんですよ。タイトルそのままに。「人を斬って、それから?」ということ。暴力は一瞬で、それまでの過程もそこからの展望も全部消してしまう。そんな事実をあなたはどう、自分の物語に組み込むつもりなのかということ。消してしまってもう存在しないものをどうやって?


映画では音もすごく印象的で、普段では聞くことのない日本刀を構える音や重い鉄のぶつかり合う音がよりこの映画の生々しさに加担していたと思うんですよね。暗めのシーンが多い中で煌めくような甲高い鉄がぶつかり合う音がすごく映えていて、暴力の陰鬱な一面だけでなくて、大きな力を奮うことへの魅力的な一面が出ていて良かったです。